こだわりポイント・その1 環境音

空間を表現する方法の一つに『環境音』の付与が上げられます。
「いつ・どこで・だれが・なにを」というお話の大筋のうちの『いつ』、『どこで』を補助する役割を担っています。
これがあるのとないのとでは音から得られる情報量が変わり、状況の理解度が違います。

朝には雀たちの合唱が。
夕方にはカラスや下校途中の子供たちの声が。
夜には鈴虫やクツワムシの鳴く声が。
雨の日にはしとしと降る雨音が。
外に出れば行き交う車の音や電車の音。

普段、聞き流しているようで私たちの身の回りにはたくさんの音が溢れています。

では、これらの音をただマイクで収録・作品に挿入すればいいのかというとそうではありません。
雨音を取ってみても、屋外で聞く雨音と屋内で聞くのとではまったく異なります。

猫の声

音とは空気の振動のことですから、障害物を音が越えるときにエネルギーを失います。(残りのエネルギーは反響音になったとでも考えてください)
障害物を伝わる際、特に『高い音』は『低い音』よりもエネルギーが削られてしまいます。
つまり、如何に屋外からの音だと伝えるかと言うと、EQで高音を削る必要がでてきます。
それだけでなく、屋内に入ってきた音はまた屋内で反響していきますので、それも考慮に入れて環境音を編集しなければなりません。

作るべき環境音

本作品は、それらをすべてクリアした環境音を用いています。
屋内で聴こえていた雨音が、外ではどう聴こえるのか。
本作品で、それを体験できることかと思います。

また、近代化した私たちの生活の中には電子機器の『機械音』や車の『ロードノイズ』などの“ハムノイズ”で溢れています。
それは屋外だけに問わず、屋内の一つ一つの部屋によって異なる音・雰囲気を醸し出す原因となっています。
本作では、俗に『ルームトーン』と呼ばれるこれらの音をわざと組み込むことによって、今までにないほどにリアルな雰囲気を演出します。

皆さんに、これまで以上の没入感をお伝えできるはずです。